このガスリボルバーはカート式ではないものの、前からカート式に改造できるため面白そうだと狙っていた代物ですが、ここで手に入ったのも何かの機会と思い、カート式に改造してみることにしました。
マルイのコルトパイソン.357マグナム 6インチ ガスリボルバーは、リボルバーでありながら24発の装弾数とGBBハンドガン並の命中精度があるため、リボルバーのエアガンは命中精度が悪いという印象を払拭してくれます。
しかし、初速はバレルの長い6インチモデルでも遅く(6インチ未満は絶望的な初速)、また、カート式ではないためロマンを感じるには至りません。
そこで、カート式にすることで初速の向上も望めるし、なによりロマン度が劇的に向上するのは間違いないということで買ってきたのがこれです。
キャロムショット マルイNEWパイソン用357アキュラシーカートです。
パッと見た感じでは、カート式リボルバーのカート以上の言葉は出てきません。
とても仕上がりが綺麗なので画になるのですが、触ってみると一般的なカート式リボルバーのカートとは構造が違うことが分かります。
このように、カートの先端が伸縮する構造になっています。
カートの先端をのぞき込んでみると、カートが縮むと内部のパイプがBB弾を押し出す構造になっているのが見えます。
このため、BB弾の装填はカートの先端を指でつまんで固定した状態でBB弾を押し込む必要があります。普通のカートのようにBB弾を押し込んでも入いらないため要注意です。
何故このような構造をしているかというと、マルイ製ガスリボルバーの特殊な構造に起因します。
マルイのガスリボルバーは命中精度と装弾数を向上させるため、発射構造が一般的なガスリボルバーと異なります。
発射前、ハンマーが起きたタイミングでシリンダー後部をバルブが押し込むことで、シリンダー先端からBB弾を1発インナーバレル後端に装填するという独特の給弾システムを備えています。
この構造により、常に固定されているインナーバレルの後端からBB弾が発射されるため、毎回同じ回転がBB弾に加わり、安定した弾道を毎回描くわけですが、カートもそれに対応するために伸縮するようになっているのです。
しかし、マルイのコルトパイソン.357マグナム ガスリボルバーシリーズを含め、マルイのガスリボルバーはカート式ではなく、シリンダーはエアガンのショットシェルのように複数の弾が入る構造になっています。
まずは、この構造を撤去する必要があります。
まず、最初にシリンダーを外します。シリンダーを外すには、エジェクターロッドを反時計回りに回してネジをといていきます。
シリンダーを外したら3つのパーツに分かれます。
シリンダーの中央にある穴をのぞき込むと、金属性のワッシャーが見えるのでそれを取り除きます。
エジェクターロッドのみぞにワッシャーを引っかけるようにしてほじると簡単に取り出せます。
ワッシャーをとると分解用のネジが見えるので、太めのマイナスドライバーかできれば金属板の治具でネジを取り外します。
形状からして、もしかしたらガスガンのバルブレンチが使えるかも知れません。
先ほどのネジを外すとシリンダーのダミーカート部分が解放されます。
そのまま引き抜くとシリンダーから内部のパーツが出てきます。
この黒いロケットのような形状をした部分がBB弾を保持し、この筒の周辺をガスが流れることで、シリンダーにBB弾を装弾しておきながらバレル後端のBB弾にガスを吹き付けることができるわけです。
しかし、ガスの流れる径が小さく、筒自体が抵抗となっていることもあり、カート式にすると初速が上がるという話に納得がいきました。
次に、シリンダー前部に気密用パッキンが入っているので全て抜きとります。
これでシリンダーは筒抜け状態です。
この状態にすると、このようにカートが入るようになります。
後はシリンダーを外した手順を逆にして、再びシリンダーを取付ければ完成です。
筒抜けになったシリンダーにキャロムショット マルイNEWパイソン用357アキュラシーカートを入れてみました。純正と違い真鍮の質感がたまりませんし、何より重量感があります。
BB弾を入れずにカートを全て入れた状態で計測してみたところ719gと重く、軽くてチープな感触だったパイソンがしっくりとくる重さになりました。
※カートは1発約15g
カート式にした際に注意すべき点としては、カートを入れずに空撃ちしないことです。
このように、シリンダー後端を押すバルブが出たままになり、シリンダーに干渉して回転を妨げ、結果トリガーが引けなくなります。
この状態になったら、エアガンに付属しているクリーニングロッド等の長細い棒をマズルから押し込んで、シリンダー後端を押すバルブを押し戻すことで元に戻せます。
また、使用していくとカートのネジが緩んで全長が伸び、トラブルの原因となります。
事前にバイスやペンチ等の工具でしっかりとトルクを掛けて締め込んでおかないと、使用中に緩み始めてきます。
このように、カートは複雑なパーツの組み合わせになっており、合計で8個のパーツ(内2つは先端部のゴムパッキン)で構成されているので、どうしても構造的に緩みやすくなっているので、購入したら最初に増し締めをしておくことをお勧めします。
他に注意というか、気になる点としては、カートがシリンダーのなかで移動する箇所があるので、揺らすとカタカタと音を立てる点でしょうか。
構造上どうしようもないので、ここは諦めるしかありません。
さて、カート式になったので、情報通り初速が向上するという話を検証していきたいと思います。
まずは純正の状態で計測した結果です。
※0.2gBB弾 室温23.4度グリップ表面26.3度の環境で計測
63.78 m/s
63.56 m/s
63.46 m/s
61.98 m/s(最低初速)
66.18 m/s(最高初速)
63.43 m/s
平均初速63.73 m/s
続いてカート式に変更後の結果です。
※0.2gBB弾 室温23.0度グリップ表面温度25.8度の環境で計測
68.49 m/s
72.31 m/s(最高初速)
68.04 m/s
70.70 m/s
67.68 m/s(最低初速)
69.34 m/s
平均初速69.42 m/s
確かにカート式に変更しただけで、平均初速で比較して5 m/s以上初速が向上しています。
バレルのインチにより初速は変わると思いますが、この結果を踏まえると約9%の初速向上が期待できることになります。
また、命中精度やホップの効き具合に関しては純正と同じく、インナーバレル後端から発射する構造をそのまま活かしているため、綺麗な弾道のまま、初速が向上した分2~3m程度射程が向上しています。
カートの入りは若干渋めながらも確実にローダーに装填できます。
カートがしっかりと固定されているため、横にしても真っ直ぐ横を向きます。
ただし、シリンダーにカートを入れる際は奥まですっぽりとは入りません。ガチャガチャと力を入れて揺らすとシリンダーの半分まで入りますが、シリンダーが削れそうなのでお勧めはしません。
このため、リロード時は慎重にリロードしないと、カートがスピードローダーに引っ掛かり落下してしまいます。
しかし、スピードローダーによるリロードはハンドロードより圧倒的に速いので、サバゲーで使わないにしろセットで用意しておくと何かと便利です。
ということで、キャロムショット マルイNEWパイソン用357アキュラシーカートを使えるように改造してみましたが、塗装も仕上げも酷いマルイのガスパイソンがなかなか良い感じになったように感じます。
マルイのガスリボルバーはエジェクターロッドが作動しないので少し残念ですが、ロマンを感じられずにはいられないカート式の魅力は純正の状態にはないものです。
特に、リボルバーとは思えないほど命中精度と飛距離が良いので、サバゲーにカート式リボルバーを投入するという夢が実現できそうです。
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