実用性は全くの未知数でしたがネタで仕入れたと思うなかれ。この水冷服、なんと!お値段6万円!!面白そうだから買ってみたという感覚で手を出したわけではないのが分かってもらえると思います。
では、何故こんな物を手に入れたのかというと、夏のサバゲーや屋外撮影時に使えればいいなと思って買ってみました。
思い返せば去年の夏、炎天下での動画撮影は熾烈を極め、着ていた服がずぶ濡れになるほどに汗をかいたのをコメント突っ込まれたほど。撮影時に大量の汗と一緒に出てきた塩分が後に服に白く浮かび上がり人間塩ができたほどでした。
撮影後、熱中症の初期症状が出てきたこともあり、以後の撮影では対策をしていたものの汗でべたべたなのは変わりなく快適な環境とはいきませんでした。
撮影後、熱中症の初期症状が出てきたこともあり、以後の撮影では対策をしていたものの汗でべたべたなのは変わりなく快適な環境とはいきませんでした。
さらに、サバゲーのフィールドは日光を遮ることもない開けた空間のうえ、地面はなんとアスファルト舗装仕上げ。直射日光と照り返しでゲーム中に快適にプレイするため導入することを決めていたのですが・・・
限定1000着だったものの、発売後1ヶ月して未だ販売中だったことを良しとしてボーナスが出るまで待つかと思ったら完売の表示が!!正直、久しぶりに逃したなと思いました。
しかし、粘って再販を期待していたら来ました!!再販開始との情報を掴んだその日の即座に発注し、こうして私の元へとやって来ました。
中身一式はこのような構成です。
本体のベストは水冷チューブが織り込まれており、合計で8本の水冷ラインが体を冷やしてくれます。
実際に手に取ってみると向こう側が透けて見えるほどで風通しは良さそうです。伸縮性があるためフィット感は良い感じで、実際に家族に着てもらいましたが男女ともにフィット感は十分でした。作業など体を動かす作業で使ったとしても邪魔になるような感じはありません。
メーカーでは下着扱いなのですが、ベストといって上にそのまま羽織っても特に問題は無いようなデザインだとおもいます。似たような商品にクールスーツがありますが、デザインではこちらの方が個人的に気に入っています。
ベストにはチューブ差し込み口があり、使用時は付属のポンプユニットに接続したチューブを差込みます。
冷却に使うパーツ類は老舗だけに堅いメーカーの物を使用しており、ソケットは研究器具メーカーのアズワン、チューブは空圧機器の大手SMCと品質については間違いの無いところを採用しています。
セパレートになっているのは取り回しのうえでの利点もありますが、こうみえてベストは家庭で洗濯ができます。体を冷やすといえど、汗をかかないわけではないので家庭で洗えるのはうれしいところです。
こちらが冷却水を送るポンプユニットです。
ポンプユニットは単三電池4本で稼働。最大で7時間の連続稼働し毎分230mlの水を循環させる能力があります。
気になっていた稼働音ですが、家庭で使う水槽用エアポンプよりは静かです。音が大きいとサバゲーに支障をきたしたり、撮影時にわざわざスイッチを切る手間が入るので心配していたのですが、人気がない環境でないと音が聞こえないぐらいです。
そして、最後は冷却水をリザーブしておく冷却水タンクと接続用のチューブ一式、接続ユニットバッグです。
冷却水タンクは容量1リットル・・・ということは、少なくともこれだけで1kgもの重量があり、さらに、ベストをあわせた総重量は約2.3kg。服というよりは装備品といったほうがいいぐらいの仕様です。
ベストの部分は体にまとうため重さはさほど気にならないのですが、ベルトにかけて腰に下げる接続ユニットバッグ側の重量は冷却水と電池込みで1.61kgと重く、装着時は片側の腰にやや負荷を感じます。
内容を一式紹介し終えたので早速水冷服を装着してみました。公式写真のイケメンミドルのモデルさんのようにドヤ顔ができるのもこの服ならでは。いまならドヤ顔をできる権利がついてきます!!
使用時は付属のバッグをベルトにかけにタンクとポンプユニットを入れるのですが、取り外しが面倒な場合は、工具ベルトやタクティカルベルトを使うと服の上にベルトが取り付けられ、ワンタッチで取り外しができるので便利です。
使用するにあたっては事前に付属のボトルに水を入れて冷凍庫で凍結させる必要があります。
使用するにあたっては事前に付属のボトルに水を入れて冷凍庫で凍結させる必要があります。
凍結したボトルに水を入れ、ソケットのついた冷水循環用のフタに交換します。この僅かな水が最初にベストに送り込まれ体を冷却することになります。
ポンプユニットとタンクのチューブを同じ色のソケットにネジ込みます。ソケットがしっかり接続されていないと空気を噛み込んで冷却能力が落ちるので要注意です。
冷却ベストを羽織り、バッグから伸びているチューブとベストをソケットで接続します。
最後にスイッチを入れるとポンプが作動し、冷却水がベストを循環することで体を冷やしてくれます。
で、実際冷却性能はどうなのかという点ですが、一言で言うと「上半身だけ水風呂に入っているみたい」な感覚です。扇風機の送風によるマイルドな冷えというのとはまるで違い、上半身がみるみると冷えていきます。
セールストークでは服内の温度が6.7度温度が下がったという表現をしていますが、あくまでも冷水により「服」の温度が下がったという結果であり、体感温度としては数十度下がっているといっても違和感のない容赦のない冷え方です(実際は約4度の水が循環している)。
最初のテストではエアコンの効いた30度の部屋でテストしたのですが、湿度が低いのも手伝ってか、下着が僅かに汗ばむ環境だったのが寒くて風邪をひきそうなほどに体が冷えました。
メーカーでは30分間冷却能力が持続したという結果を出していますが、上記のテストでは1時間程度冷えていると感じることができました。
メーカー公式の30分持続というデータは老舗で堅いイメージのあるメーカーだけに、一定の能力を維持できる時間を採用しているのではないかと推察できるのと、計測環境が一般的ではない過酷な条件(消防士らが使う防護服を着込み、炎天下を再現した環境で計測)というのもあると思います。
本来の目的である炎天下の撮影ではその効果を遺憾なく発揮してくれました。
撮影時の装備は長袖の下着に冷却ベスト、タクティカルベストにアフガンストール(マフラー)とチノパンという暑苦しい装備でしたが、4時間の撮影は今までにない快適さがありました。
32度の昼間の炎天下、日差しを遮る物はなく風速は1mあるかないか。撮影後は素手だった手が真っ赤に日焼けするほどの環境でしたが、上半身は下着が汗だらけだったものの、下半身はズボンも下着もほとんど乾いたままでした(水冷服無しだとずぶ濡れです)。
いつもだったら撮影が終わり次第水風呂に入りたいと思うのですが、まったくそのような欲求が起きず、お昼は麺類しか通りそうにない暑さでもパンをバクバクとほおばるほど。しかも、撮影が終わった後「もう2時間ぐらい撮影しても平気」と思ったほどです。
屋外でも冷却機能を維持できるのは1時間程度で、予備タンクと使い切った際に使うブロック状の氷を溶けないように-16度タイプの保冷剤を1.5kgも入れたクーラーボックスに入れて保管していました。
砕いた氷をタンクに入れて運用する場合は、表面積が多い分、溶けが早くなるため多めに用意する必要があります。また、移動時にガラガラと音がするので目立ってしまうのが困りものですが、そのぶんよく冷えます。
※4時間で1Lの専用ボトル2本と、1.7kgの氷を消費
※市販されている透明な氷は長持ちする
このように、冷却性能は抜群ですが付帯装備を含めると装備が大がかりになるのが水冷服の弱点です。
また、使用時に気になったのが冷却水の循環が止まることです。これは、座るなど姿勢の変化によりチューブが折れて発生する場合と、フィルターの目詰まりによる場合とがありました。
水冷服は冷却機能を損なうとただの服なので、機能障害に陥ると余計に暑くなってしまいます。
水冷服は冷却機能を損なうとただの服なので、機能障害に陥ると余計に暑くなってしまいます。
他にもチューブが破損しないように気を使ってしまうのと、腰に下げているタンクとポンプユニットが入ったバッグが走るときに大きく揺れて邪魔になったり、犠牲になる部分が大きいのも水冷服のデメリットです。
価格を含めデメリットが大きいように感じられるように思いますが、強烈な冷却性能を考えると十分に検討する余地はあるのではと感じる性能です。
※大きなデメリットと大きなメリットが共存しているので、いかにデメリットを抑えられるかが焦点となる。
※大きなデメリットと大きなメリットが共存しているので、いかにデメリットを抑えられるかが焦点となる。
競合商品である空調服が使えない、使っても効果が見込めない環境を狙っているようですが、まさにそんな環境にいる私にとっては水冷服は願ってもない救世主でした。
最悪ネタ扱いで終わる可能性があったのですが、実用性とネタ共に久しぶりに満足いくものを手に入れたと感じるものでした。
今度はサバゲーでの運用レビューになると思いますが、友人との調整がうまくいかず実践投入は9月以降になりそうです。
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