Classic Army M132マイクロガン

まさかこんなものが出てくるとは思いもしなかったと多くのユーザーが驚いたであろう、Classic Army M132マイクロガンですが、MULE(旧CAW製)のM134と比べれば手ごろな価格のためか、かなり人気になっているようです。

市場に数が出ており、販売時期がボーナスの時期と重なったこともあり、現在では結構なユーザーが手にしているようですが、私の元にも予約しておいたClassic Army M132マイクロガンが無事に届きました。

この、Classic Army M132マイクロガンは、かなり特殊な部類に入るエアガンになりますが、今回のレビューで細部まで詳しく掘り下げて紹介していきたいと思います。
※今回紹介する個体はバレルカットに伴いマズル部分がノーマル状態とは一部異なります

■M132とは?

Classic Army M132マイクロガンは架空銃です。そのナンバリング「M132」も銃として登録はされていません。

しかし、マイクロガンは実銃として存在しており。過去に開発して頓挫したGE製のXM214と現在開発中のエンプティ・シェル社のXM556が存在しますが、どちらも形状はClassic Army M132マイクロガンと全く違います。

Classic Armyオリジナルのガトリンクガン

Classic Army M132マイクロガンはあくまでもサバゲーで使えるガトリングガンとして設計されたClassic Armyオリジナルのガトリンクガンであり、その源流はおそらく今は亡きアサヒファイヤーアームズのM134に遡れると思われます。

CAW M134

エアガンとして現在市場に出ているガトリングガンとして有名なのは、MULE(旧CAW)のM134ミニガンですが、そのベースとなったトイテックのM134が販売されていた当時、そのライバルであるアサヒファイヤーアームズもM134を販売していました。

トイテックのM134は電動モーターのみで駆動する電動ガンだったのに対して、アサヒファイヤーアームズのM134はバレルの回転や給弾機構を電動モーターで動かし、BB弾の発射は外部ソースで供給されたガスによるハイブリッド方式でした。

Classic Armyでは、アサヒファイヤーアームズのM134コピーモデルらしきものも過去に出していますが(もちろん外部ソース式)、それを踏み台にゲーム使える手軽さを主眼にM132を設計した可能性があり、設計思想にアサヒファイヤーアームズのM134の面影が残ります。

後ろ側から

とはいえ、完全コピーではなく、こうしてオリジナルのものを中華メーカーが作っていくのに最近は驚かされています。ワクワクさせられる反面、国内勢も頑張って欲しいと思うところです。

■組み立て

Classic Army M132マイクロガンはパーツの一部が分解された状態で梱包されています。

グリップ部の組み立て

組み立てに関しては付属の工具とネジでパーツを取付けるだけですが、グリップ部分は結線とチューブの接続が必要になっています。
※写真は国産チューブに交換済み

断線に注意

また、コードは溝を通して取付けないと潰して断線する可能性があるので、この箇所は慎重に作業する必要がありました。

パーツの歪みが酷い

中華製だけに問題もあり、グリップ根元部分とキャリーハンドルが歪んでおり、力をかけて押し込まないと入りませんでした。

この点は中華製らしい精度だなと感じる部分ですが、一度取付けてしまえば歪みは戻るため気にはなりません。

■外観と構造

ブラスト処理がかかっている

外観は軽量化のため樹脂を多用していることもあり、ほぼ、表面は樹脂の状態そのままで、ブラスト処理がかかっているような無いような微妙な表面です。

それほどチープには感じない

そのため樹脂感が強いのですが、ABSのような安っぽい材質でも無く、デザインがゴツゴツしているためか、それほどチープには感じません。また、サバゲーで使用すると傷が付きますが、傷が目立ちにくい表面になっています。

アウターバレルは金属製

さすがに、アウターバレルは金属製になっており、インナーバレルがアウターバレルに影響されて歪むことはありません。

バレルの数は4本

バレルの数は4本で、発射サイクルを抑えてガスが冷えるのを抑制しようとしているのでしょうが、一般的な長物GBBからすると発射サイクルが早く、トリガーを引くとガスを垂れ流しにする構造のため、あっという間にガスが冷えてしまいます。

827Mpa)

元より日本仕様はHFC134aガス指定ですが、海外ではガス圧の高いガスでの運用を前提(とはいえラベルにも記載されている最大圧120psi(0.827Mpa)は海外製エアガンとしてはやや低いように感じる)としているため、HFC134aで使う場合はガスの冷えはどうしようもありません。

給弾口

バレルのセンターには給弾エリアが用意してあり、蓋を開いて・・・

横から見える穴の位置まで

この中にBB弾を流し込みますが、横から見える穴の位置までBB弾を流し込むことができます。

仕様では2200発の装弾数となっていますが、実測の23発/秒(12V時)で発射した場合、トリガーを引き続けたら約1分半で弾切れです。

サバゲーでは制圧射撃専用として運用する以外に使い道が無いため、段幕を長時間貼れるように装弾数がもう少し欲しいところです。

カバーの部分

このカバーの部分はピンを取外すと・・・

ちょっと拍子抜けする

内部構造が見えるわけでもなく、ホップアップ調整用の小さい穴が用意されています。

ホップアップ調整用の小さい穴

ここに六角レンチを入れ、1本ずつホップアップ調整をすることになりますが、4本もあるうえ高速で回転するため、ホップアップ調整は均等に整えるのが難題となります。

グリップ周り

グリップ周りは一般的な銃というよりは航空機にありそうなスティック形状で、グリップを握らないと発射できないグリップセーフティ方式が採用されています。

トリガーはガス電気連動

Classic Army M132マイクロガンは分解された状態で届くため、グリップの内部構造が一部見えるのですが、トリガーはモーターへの電源供給(もしくはFETへの信号)と共にガスの供給も連動するという複雑な構造になっていました。
※写真は国産チューブに交換済み

ガスタンク

BB弾の発射に使用するガスは一般的なガスガンで採用されているリキッドチャージ方式ではなく、ガス缶を1本丸ごと本体に挿入して使うという大胆な構造になっています。

ガス缶を1本丸ごと本体に挿入

この構造のため、使えるガスガンが東京マルイの大サイズのガス缶に指定され、サイズの違う他社のガス缶は利用できないとのことでした。

手元にあるガス缶

試しに手元にあるガス缶を入れてみたのですが、短いサンダーシュートガスは蓋が完全に閉らないものの一応使用が可能(フィッティングが悪くガスがノズル部分から漏れ出るのでお勧めしない)でしたが、ガス缶が長いタイプのサンダーシュート、ハイバレットガス、ウッドランドガスは蓋が閉らず使えません。

また、本体内部にはリザーブタンクがあるため、ガス缶を入れると一気にガスがリザーブタンクに持って行かれます。

リザーブタンクはガス缶を取り外してもガスが排出されない構造で、ガス缶が無くともバッテリーとBB弾が入っていれば発射可能なので、セーフティエリア等での誤射には要注意です。

■ガスとバッテリー

燃費

ガス缶1本でどれだけ撃てるかテストしてみたのですが、マルイのガス缶で約6300発撃つことができました。
※室温27度12V供給時
※計測は、約1分間連続して発射した後、ガスと本体が温まるのを待って再度発射するサイクルを繰り返し
※ BB弾は重量換算で計測

ただし、ガス缶の残量が1/4程度まで減ると極端に初速が落ちてくるため、まともな初速で撃てるのは5000発程度と考えておいたほうが良いです。

また、構造上バレルの回転数が遅いほどガスの無駄な放出が増えるため、8.4Vなら計算値で約4600発になります。

サイクルが早いとガスが冷えやすく、ガスの冷えを抑えるためにサイクルを遅くするとガスの燃費が悪くなるという一長一短のため、どちらを取るかは使い方次第で決めると良いかもしれません。

GBBと違い、発射にしかガスを使わないのにそれほど良い燃費ではないのは、設計上、トリガーを引いている間常にガスが吹き出す構造のためで、発射時以外にもガスを放出するので燃費はそれほど良いとはいえません。

Classic Army M132マイクロガンはガスとバッテリーのハイブリッド方式のため、バッテリーも必要になります。

バッテリーは11.1Vのリポバッテリーが推奨となっていますが、仕様上では12Vまで供給可能と記載されています。

コネクター形状

コネクター形状はリポバッテリーで採用されていることが多いTコネクター形状ですが、付属品にTコネクターをニッケル水素バッテリーで採用されているミニEPコネクターに変換するアダプターが付属しています。

ミニEPコネクターに変換するアダプター

このアダプターは線が細く、負荷で焼き切れないかと不安でしたが、そもそもバレルを回す消費電流は5A(仕様上の数値)とスタンダード電動ガン以下の消費電流のため、アダプターを使ってミニSバッテリーで駆動させても問題はありませんでした。
※AKバッテリーは長すぎて収納不可

ミニSバッテリーでも使える

バネの負荷が掛かったピストンを引く電動ガンとは違い、負荷の少ないバレルを回すだけなので、電流よりはバレルの回転数が上がる電圧のほうが重要なのでしょう。

■珍しいハイブリッド方式と異質な構造

バッテリーとガスとで動かすハイブリッド方式自体特殊といえますが、実は過去にハイブリッド式のガスガンは市場に出ていたこともあり、珍しいというよりは懐かしいと感じるユーザーもいるのではないでしょうか。

ガスの供給ライン

むしろ、特殊なのはガスの供給ラインで、構造的には外部ソースの1つであるガスブースターを本体に内蔵した異質な構造となっています。

簡単に外部ソースのシステムに接続

外側に見えるガスの供給ラインは、一般的な外部ソースに使われている6mmチューブとチューブフィッター付ソケットで、簡単に外部ソースのシステムに接続することができます。

そのため、Classic Army M132マイクロガンは外部ソース式のエアガンとして認識することも可能なため、外部ソース禁止のフィールドで使用する際は、フィールドによって可否の判断が分かれてくることになると思います。

また、Classic Army M132マイクロガンは外部ソース化すると初速が規制値を超えるため(サンプロレギュレーターの最大値0.55Mpaで確認済)外部ソース化の際は初速対策が必須となります。

外部ソースシステム

このため、例え外部ソース可能なフィールドにノーマルの状態で持ち込む場合でも、同時に外部ソースを利用しているなら、チューブをつなぎ替えるだけで簡単に接続できるのは確かなので、誤解を招かないように外部ソースのシステムと同時に使用するのは避けておいたほうが無難です。

それだけでなく、外部ソースが手元にある場合は簡単に組み替えることができるので、可能であれば外部ソース化しても安全な初速に落とすように対策をしたうえで所持しておくことをお勧めします。
※初速対策については別途記事にする予定

バレルカット

私の場合は、元より外部ソース化を前提として購入しているため、バレルカットをして初速を落としています。

■中華製だけに問題もある

Classic Army M132マイクロガンは中華製だけに、そのまま使うのは厳しい問題点もあります。

上記で既に指摘した樹脂パーツの歪みについては、取付けてしまえば問題にならないのですが、実は生ガスが盛大に漏れるという問題を孕んでいます。

ガスが大量に漏れ出した

銃口側をやや下げた状態で満タンのガス缶を挿入すると、生ガスがリザーブタンクに必要以上に入り込み、射撃時に銃口から生ガスを噴出するのですが、その状態で使うと急激にガスが冷えてチューブフィッター部分からガス漏れを起こします。

これが、マガジンのガス漏れ程度の生やさしいものではなく、液化ガスが水のようにグリップ根元から垂れ流しになり気化熱で周囲が凍り付きます。

日本製のチューブに全て交換

チューブフィッターへの差し込みが甘かったのかと思い、グリップを取り外して漏れている箇所のチューブを差込み直し、再びガスを入れてテストしても解決しなかったため、日本製のチューブに全て交換してみたところ、今まで漏れていたのが嘘のようにピタリと止まりました。

再現テストのため、わざと銃口を下に傾けて生ガスを吹き出すようにし、ガス缶1本を消費するまでトリガーを引き続けましたが、それでもガス漏れは起きなかったので、組み立てる前に国産の6mmウレタンチューブに全交換することをお勧めします。

グリップ内部

交換場所はボンベ装着部分から本体側への供給部分、そしてグリップ内部の2本です。グリップはモナカ構造のためネジをとけば簡単に分解できます。

トリガー部分もチューブフィッターで繋がっているので、チューブの交換に特殊な工具は必要ありません。

■重量

5kg

重量は本体のみで4.5kgと見た目の割に軽量です。

しかし、実際にサバゲーに投入する場合はこれに512gのガス缶1本とバッテリー1個(ミニSで165g)、0.2gBB弾を使った場合2200発で440gとなり、合計で約5.6kgの最大重量になります。

M134は重たい・・

とはいっても、MULE(旧CAW)のM134装備一式25kgと比べると随分軽いと感じます。

サバゲーでも十分に振り回せる

サバゲーでも十分に振り回せるぐらいの軽さと長さなので、確かにサバゲー向けに設計されているだけあると感じます。

■初速とサイクル

初速

初速については、気温27.8度の環境でマルイのガス缶を使用して72m/s~77m/s程度となりました。

ただし、ガスが冷えていない状態の初速であり、撃ち続けると当然ガスが冷えて初速が劇的に落ちます。

ガスが冷えると初速が落ちる

暫くすると60m/s台後半まで低下し、そのまま撃ち続けていると最終的に10m/s台前半まで落ちます。

サイクルについては推奨とされている11.1Vのリポバッテリーが手元にないので、8.4VのミニSバッテリー、9.6VのAKバッテリー、12Vの鉛バッテリーで計測してみました。

結果はそれぞれ、ミニSバッテリーが約18発/秒、9.6VのAKバッテリーが約19.5発/秒、12Vの鉛バッテリーが23発/秒となりました。
※AKバッテリーは収納不可

サイクル、動作ともに、MULE(旧CAW)のM134の怒号のような動きとは違い、随分と大人しいイメージですが、それでも回転時のトルクにより傾く力が働きます。

自作プロテクター

CAW M134のレビューでは、この特性のせいで初速計の液晶パネルを打ち抜いてジャンク化させてしまったので、今回は初速計用にプロテクターを自作して取付けていますが、サバゲーで使う際の初速計測は面倒なことになりそうです。

■命中精度

構造そのものが狙って撃つものではないため、命中精度といわれてもピンとこないエアガンですが、弾道はCAWのM134と良い勝負です。

適度に纏まりながら、40m程度からショットガンのように散らばるので、高級中華電動ガンの箱出し程度の精度はあります。

元より、制圧射撃向けなのでこの散らばり具合がちょうど良い感じで、見た目のインパクトを含めて相手を牽制するのには最適でしょう。

トリガーを離すタイミングによっては(バースト射撃時に特に発生)、最後の1発が弾ポロや10禁のエアガンのような弾道になることがありますが、ガスカットのタイミングが甘いようで、この点は少し歯切れが悪く感じます。

本体自体は軽いし短いので、サバゲーでも十分に運用できると感じますが、狙いは曳光弾のように撃ちながら調整する要領で当てていかないといけないため、狙うと言うよりはバラマキ特化となります。

この手のエアガンは狙っていると思って居る方向とは別の方角に銃口が向いていることが良くあるので、慣れるまでは味方への誤射に特に注意して使う事をお勧めします。

■まとめ

Classic Army M132マイクロガンは材質や造形、内部構造どれを取ってもサバゲー向けに割り切った設計がしてあり、外観からは想像できないほど簡素な内部構造になっています。

そのため、心配していた給弾周りのトラブルは試射で14,000発程度撃ち込んでも皆無なので、意外にも耐久性が期待できそうです。

ノーマルのまま使う場合、ガスの冷えは割り切るしかないとしても、構造上の問題でフィールドでの使用可否が分かれそうな点については、ユーザーにより判断が分かれることになると思います。

少なくとも、外部ソースが使えるフィールドであれば快く使わせてもらえると思いますので、動画レビューの撮影終わり次第サバゲーに投入してみたいと思っています。