昇圧回路試験


今年の改造により、コンパクト化を果たしたうえワイヤレススイッチ及びPMW制御による流量の調整が可能となった水冷服のユニットですが、テストを兼ねて1回ほど晴天の屋外で使用してみたところ、冷却能力が若干不足してくる場面が出てきました。

前々から、炎天下で動いていると冷却効果が追いつかないことがありましたが、他の不満が消えた今、改めてこの不満が目立ってしまうことに・・・。

そこで、時間当たりの循環流量を向上させて水冷服の冷却効率を上げるため、昇圧回路によるダイヤフラムポンプの高回転化を狙ってみました。

本来、この水冷服は単三電池4本で駆動する設計のため、1次電池を用いた場合だと、公称電圧1.5V×4本の6Vという電圧で駆動する仕様なのですが、改造に改造を重ねた現在はUSBのモバイルバッテリーの約5Vという電圧で動いています。

そのため、ダイヤフラムポンプの効率が本来より落ちており、それに伴い水冷服の冷却効率も低下しているわけですが、昇圧回路にて6Vに上げてやれば、5V化に伴い効率が低下したダイヤフラムポンプも本来の効率に戻ることもできるうえ、6Vを超えてダイヤフラムポンプ仕様の定格となっている12Vまで昇圧してやれば更に効率が上がることになるはずと考えました。

そこで、昇圧回路の出番となるのですが、世の中便利なもので探せばUSBのソケットを持ったUSB昇圧回路が売ってありました。

昇圧回路

これがその昇圧回路です。今回は保険を込めて2種類購入してきました。

固定電圧タイプ

1つ目は5Vを6V化する固定電圧タイプです。ケースに入っているのでショートを気にせず使えます。こちらは、主に乾電池4本で動く機器をUSB電源で動かす際に使う事を想定しているようです。

6V~12Vに昇圧するタイプ

更に6Vを超えて昇圧するため、5Vを6V~12Vに昇圧するタイプも用意してみました。こちらはケースが無い剥き出し基盤のため、使用する際は気を遣わないとショートしそうです。

これをモバイルバッテリーとPMW制御のワイヤレススイッチの間に挟み込んで使用する訳ですが、PMW制御のワイヤレススイッチが5V以上に耐えられるのか、また折角昇圧した電圧を5Vに戻すことがないか心配でした。

これだけは、やってみないと分からないと破損覚悟で取付けてみましたが・・・。何事もなく6V以上でも同じように動いてくれました。PMW制御のワイヤレススイッチはシリーズに12Vまで対応しているものもあるので、もしかしたら基盤部分は流用なのかもしれません。

もちろん、PMW制御のワイヤレススイッチを通った後も昇圧したままなので、ダイヤフラムポンプを駆動させるモーターへ、高い電圧を供給することができます。

6V化

6V化するとやはり音が違います。循環する水の勢いがついており、モバイルバッテリー直差し次と比べて流量が増しているように感じます。

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更に効率を上げるため、6V~12Vタイプの昇圧回路を使用してみました。こちらは、電圧可変タイプなので、ドライバーでダイヤルを回して電圧を変更することができます。

5Vの供給では、無負荷時で5V~15.5Vまで出力が変更できます。

昇圧回路が耐えられず

もちろん、高電圧になるほど電流の許容量は減っていき、14.5Vから動きが怪しくなり、15Vではダイヤフラムポンプを駆動させようとした瞬間、昇圧回路が耐えられずに落ちてしまいました。

明らかに効率が上がっている

ダイヤフラムポンプの定格である12Vに調整して使ってみましたが、ダイヤフラムポンプのモーターが大きな唸りをあげて、勢いの良い水流がチューブから出てきました。明らかに効率が上がっているのが分かります。

しかし、PMW制御を入れると問題が出てきました。1つ目は昇圧回路のコイルが鳴きだしてノイズが発生することです。

このノイズはモスキートノイズに近い甲高いノイズなので耳に響きます。しかも、結構響くのでダイヤフラムポンプの騒音と合せて静音性が損なわれてしまいます。

そして、2つ目は電流が増大して電圧が不安定になることです。

12Vそのままで駆動させると問題はないのですが、PMW制御を入れた途端、電流が増大して昇圧回路がオーバーロードします。結果、電圧が不安定になりモーターの動きもぎこちなくなります。

電圧を11Vに落としたところ、PMW制御を入れても問題無く作動したので、電圧を11Vに固定しましたが、結局PMW制御が入ったときのノイズは解決できませんでした。

6V固定の昇圧回路はPMW制御を入れてもノイズは出なかったので、設計上の問題か電源ノイズの対策が全くできていないのかもしれません。

結局6V~12Vの可変昇圧回路は、昇圧回路のノイズとダイヤフラムポンプの騒音が大きいため、使用に耐えるなら音が気にならない作業などで使う予定にしています。

最終的に仕様が決まったので、各昇圧回路による流量の比較テストをしてみることにしました。

1分間あたり180ml

5Vのモバイルバッテリーでは1分間あたり180ml。

1分間で210ml

6Vの昇圧回路で1分間で210ml

1分間で270ml

11Vの昇圧回路で1分間で270ml

PMW制御50%で1分間230ml

11Vの昇圧回路 PMW制御50%で1分間230mlとなりました。

水冷服の製品仕様では1分間で230mlの循環量となっていますが、これは新品のアルカリ電池を使用した際の6.4V(1.6V×4本)での数値だと予想されます。

アルカリ乾電池を使用した場合、6Vの昇圧回路よりも若干電圧が高いため効率も上がることになる訳で、6Vの昇圧回路による毎分210mlという数値は妥当な数値と考えられます。

ダイヤフラムポンプの騒音が若干大きくなったものの、十分許容範囲内なのでサバゲーではこちらの昇圧回路を使用してみようと思います。後は、効率が上がった分冷却効果も向上していることを期待するだけです。

11Vに固定した6V~12Vの昇圧回路については、上げた電圧に比例して効率(時間対流量)が上がるような単純なものではなく、「電圧対流量」という指標で見た場合、効率は逆に落ちていると言えます。

また、PMW制御については50%で6V昇圧時以上の流量があるため、PMW制御時の効率は電圧と比べるようなものではないということも分かりました。

他にも、11Vの昇圧ともなると、ダイヤフラムポンプを動かすモーターのトルクも出てくるため、チューブが詰まった際にダイヤフラムポンプが過負荷で停止すればよいのですが、最悪ダイヤフラムポンプが加圧を続けチューブ側がパンクしてしまわないか心配です。

どちらにせよ、11Vに設定した昇圧回路は、あらかじめテストで不具合を出しておかないと何が起こるか分からないという状態になっています。
昇圧回路を保護

最後に、回路がショートしないように6V~12Vの昇圧回路を保護しておきます。手元にあった熱収縮チューブを被せてバーナーで炙ってカバーを作ってみました。

後は、実際に炎天下でテストするだけですが、タイミング悪く雨に見舞われるため、早く梅雨明けしてもらいたいものです。

なお、今回使用している昇圧回路はUSBケーブルを単純な電源ケーブルとして扱っている機器に使用することを想定した物であり、スマホやタブレットといった電子機器で使用しても急速充電ができるようになるような代物ではありません。電子機器は定格以上の電圧をかけると機器の破損に繋がりますので、間違った使用はしないように注意をお願いします。