個人的にMGやLMG等の迫力のあるエアガンは大好きなのですが、いかんせん重たくてサバゲーで使うには体力的に難しいものが多く、軽くてサバゲーで運用できるものがないかと探していたのですが、ARES KAC STONER LMG AEGが軽そうなので購入してみることにしました。
※バイポッドは付属していません
ユージン・ストーナー氏はM16やM4のご先祖となるAR系のアサルトライフルを設計したのは有名な話ですが、実はその後LMGも設計しており、Stoner 63(Cadillac Gage社)、Stoner 86(Ares Incorporated社)、Stoner 96(Knight's Armament Company社 以下KAC)と会社を転々としながらLMGの設計を続けていました。
残念ながらどのモデルも大口採用には至らなかったのですが、最終的に弟子と立ち上げたKACからStoner 96(もしくはStoner 99)が発売され、それをモデルとしたエアガンがARES KAC STONER LMGになります。
※現在Stoner 96は改良型のA1になってハンドガードが大幅に変更されている。
こうしてARES KAC STONER LMGを眺めていると、設計者がARを開発しているだけあってStoner LMGにもARの面影を感じるところがあります。
サイズはLMGにしては小振りで、同じくLMGのA&K M249 MINIMI Mk2と並べてみるとコンパクトに見えますが、MINIMIのショートモデルであるPARAモデルと比較するとそれほど長さに差はないと思います。
しかし、ハンドガードやレシーバーの厚みはARES KAC STONER LMGが薄く、そのためフルメタルモデルのLMGでありながら重量が約4.4kgとフルメタルのアサルトライフルよりやや重たい程度でおさまっています。
※重量はBB弾、バッテリー含まず
※重量はBB弾、バッテリー含まず
嬉しいのはハンドガードとアッパーレシーバーにレールが用意されている点です。
サバゲーでは撮影用のウェアラブルカメラをレールに取付けますし、重たいLMGの立射を安定して行なうにはフォアグリップは必須だと思っていますが、RASやRISを開発したKACだけに、この点は実銃の段階で充実しており、後からRISやRASを取付ける必要がないのは嬉しいところ。
加えてARES KAC STONER LMGには合せてKACタイプのフォアグリップと、レールカバーが付いており、エアガンでも立射を主とした運用を想定した内容になっています。
しかし、いくら軽いとはいえLMGと比較しての話であり、絶対的な重量は重たい部類に入っていっているため、依託射撃用にバイポッドが欲しいと感じるところです。
そこで、20mmレールに取り付け可能なバイポッドを装着し、後方支援から拠点防衛、前線運用と臨機応変に対応できるLMGにしておきました。
ハイダーは14mm正ネジ。固定はマルイの電動M4やA&KのMINIMIで採用されているイモネジ固定ではなく、マルイのM4A1 MWS GBBに似たようなOリングで締まりを調整する構造です。
工具不要で交換可能ですが、かといって簡単に緩む構造ではありません。
ストックは、これまた水道管か何かを取って付けたようなストックパイプに無骨なストックが付いています。
見た目は今ひとつですが、6ポジションなので体格や装備に合わせて細かな調整ができます。
ちなみに、ストックが斜めに固定されているのが分ると思いますが、ネットで見る限り、他の個体は正常に取付けられていたので、組み立てが甘い個体だったのでしょう。
LMGといえばバレル交換ですが、ARES KAC STONER LMGもバレル交換ギミックが内蔵されており、フィードカバーのマズル側にあるバレルロックレバーを押し込むとバレルが外れます。
バッテリーの交換はこの状態で行なうようになっており、AKタイプバッテリーをガスチューブ内に差し込み・・・
フィードカバーを開けて、マガジン直上にあるコネクターに差し込んで取付けます。
もう1つ小さなコネクターがありますが、これは電動給弾マガジンへ電力を供給するラインになります。
プラ製のダミーカートに隠された状態でマガジンにケーブルが伸びていますが、せっかくのフルメタルなのに、このプラのダミーカートが台無しにしてくれます。ここはリアルな金属製ダミーカートに交換推奨です。
マガジンは電動給弾タイプですが、驚いたことにメカボックス用モーターに接続されたケーブルから電源を引っ張ってきており、トリガーを引いてメカボックス用モーターが動くとマガジンの給弾用モーターが合せて動くという、やや強引な連動給弾方式になっています。
さらに、電動給弾タイプのマガジンでありながらゼンマイは入っておらず、直接モーターの力でBB弾を押し込むというかなり強引な給弾方式のため、初期のロットではトリガーを引いても初弾が出ず、バーストすると頻繁に空撃ちするという症状があったようです。
私の個体では改良が進んだのか、バーストでも初弾はしっかりと出ていたのですが、100発も撃たないうちにマガジン内部の給弾ラインが外れて給弾不良を起こしてしまいました。
一番応えたのが、撮影直前にマガジンへ電源を供給するラインのコネクターがハンダ不良で断線してコネクターが外れたことです。ともかくトラブル続きで、ある程度試射して不具合を先に出しておかないと、後々トラブルに見舞われそうです。
上記の2件については、マガジンを分解して修復はできたのですが、その際に給弾用モーターのハンダ付けが甘く、そのまま使っていたら断線しそうな状態になっているのを発見したので、ついでにハンダをつけ直しておきました。
ちなみに、このボックスマガジンは装弾数が500発と少ないため、弾幕を張るには少し厳しい弾数です。しかし、G&PのMINIMIマガジンを改造して流用すれば、3000発の装弾数になり、支援火器として申し分無い装弾数を携行できます。
中華製だけに問題も多々あり、初期のロットでは弾ポロor弾詰まり、ピストン気密漏れによる初速低下があったようですが、私の個体はこれらの点については問題無く、今のところマガジンの不具合を除けば箱出しでサバゲーに使えるような状態です。
もし、マルイレベルまで性能を上げようとするのであれば、クッションラバー装着加工、ホップパッキン交換、ピストン気密漏れ改善(ピストンヘッドとバレルヘッド)、ギアボックスグリス清掃と再塗布、軸受け固定、シム調整、ハンダ不良箇所修正などの調整が必要かと思われます。
下調べをした限りでは以上の項目が改善点になりますが、ロットによってギアが違う(プラ製のギアが入っているものがあるらしい)、ピストンが違うといったロットごとの差があるようなので、一度分解してから交換するパーツを吟味した方が良いでしょう。
私の個体は射撃性能については箱出し快調だったので、マガジンの修理以外はインナーバレルの清掃をしてメカボックスには手を付けていません。新品ですが、バレル内部はかなり汚れているので箱出し快調でも手を入れておくべきところです。
ARESは高級中華エアガンとは言われてはいますが、中華エアガンには変わりなく、ある程度手を入れる必要があるのは高級だろうか安価だろうが変わりありません。
初速は国内向けにデチューンしてありますが、代理店やショップによるデチューン方法が異なるため個体差が出ており、今回手にした個体は0.2gBB弾で毎秒89-90m程度と非常に安定した初速を出す当り個体でした。
サイクルは8.4VのAK1300バッテリーで毎秒12.3発ですが、ノーマルの状態で9.6VのAKタイプバッテリーにも対応しているので、9.6Vのバッテリーで若干のサイクル向上が見込めます。
飛距離も45mを超えているため、後方支援火器らしく後方から制圧射撃で味方のバックアップをすることも十分にできることでしょう。
ホップの調整はフィーダーを開けると見えるチャンバーに調整用のダイヤルが用意されています。効きは強めですが最適な状態にホップを調整することが可能だったので、弾ポロか鬼ホップという初期ロットからやや改善がされているようです。
ただ、30mまでは綺麗な弾道を描いて飛んでいくのですが、ホップのかかり具合が不安定なので、それ以上は弾道がちらばっていきます。
まるで変化球を乱射しているようで、30m先でも弾が一直線に飛んでいくマルイの電動ガンと比べるとやや劣ると感じますが、サバゲーで十分使えるレベルになっているため、中華エアガンの箱出し状態でこれなら合格点でしょう。
なお、最近のARES社が出すエアガンはFETにより電子制御化されていますが、ARES KAC STONER LMGはフルオートのみということもあり、昔ながらのマイクロスイッチが使われています。E.F.C.Sは使えませんのでご注意を。
まとめ
軽量で扱いやすいLMG、人があまり持っていないマイナーなLMGが欲しいと感じるのであればARES KAC STONER LMGはその期待に応えてくれるかもしれません。
中華製のため、ある程度の当たり外れがあり、また耐久性も東京マルイレベルまで期待はできないので、長期的な使用についてはメンテナンスの知識が必要になるでしょう。
エアガンのメンテナンスができない、周りにメンテナンスを請け負ってくれる人がいない場合は正直お勧めできません。
しかし、メンテナンスや調整については方法が確立しているため手を入れやすく、マガジンもG&PのMINIMIマガジン流用により装弾数が劇的に向上するため、実用的なLMGエアガンとしての基本は持っていると感じる1挺でした。
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